糖尿病

糖尿病について

食物中に含まれる糖質は、通常は分解されてブドウ糖になり、エネルギーとして消費されたり蓄えられたりします。しかし、何らかの事情でこのサイクルが上手く働かなくなると、血液中のブドウ糖量が増えて、高血糖の状態が続く糖尿病になります。高血糖は血管に負担をかけて様々な合併症を起こすことが知られています。

糖尿病と頭痛

糖尿病になると、血流の滞りが起こりやすくなります。そのため、首、肩、肩甲骨周辺などが「凝り」やすくなり、慢性的な頭痛を誘発することがあります。また、血糖をコントロールするインスリンがうまく働かなくなることで、時に低血糖も起こりやすくなり、その場合も頭痛を誘発します。低血糖になると意識障害などの重篤な状況も起こりえるため、医師と相談して、うまく血糖をコントロールすることが大切です。

血糖値スパイクと頭痛

食事の後すぐに血糖値がぐんと上昇し、それを抑えようとインスリンが大量に分泌され、血糖値が急降下することを血糖値スパイクと言います。血糖値スパイクは動脈硬化の原因ともなります。食後急激に頭痛が起こる時は血糖値スパイクが疑われます。1日3食を規則正しく、またゆっくりと噛んで食べることである程度抑えることができます。

糖尿病の原因

糖尿病は、原因によって1型と2型の2つに分けられています。

1型糖尿病

膵臓でインスリンを作る細胞に障害が起こり、インスリンの分泌が減少、または分泌されなくなるタイプで、自己免疫性の疾患が考えられ、若年層に多く発症します。治療にはインスリン投与が必須となります。

2型糖尿病

遺伝的要因に加えて、生活習慣や食生活、肥満、ストレスなどが関わって、膵臓のインスリンを分泌する細胞機能には問題がなくてもインスリン不足が起こるタイプです。日本の糖尿病のうち95%は2型糖尿病です。

糖尿病の合併症

初期の糖尿病は、自覚症状がほとんど無く、時に喉の乾きや倦怠感を覚えることがある程度です。定期健診の血液検査で血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、尿中の糖を指摘されて気づくことが多くなっています。この時期に放置してしまうと、徐々に合併症を生じます。糖尿病には実に様々な合併症がありますが、以下の3種類を糖尿病の三大合併症と言います。

糖尿病性神経障害

高血糖によって、血管が障害を受け続けると、だんだん体全体に栄養や酸素が行き渡らなくなります。特に、体の末端は血管が細いため障害が起こりやすく、末梢神経に障害が起こり、手・足のしびれや痛みを感じるようになります。男性の場合ED(勃起不全)が起こることもあります。自律神経に障害が起こると便秘や下痢、立ちくらみなどが起こることもあります。

糖尿病性網膜症

網膜には毛細血管がたくさん集まっています。糖尿病網膜症では、網膜への血流が阻害され、網膜自体が障害され、最悪の場合は失明につながります。また、一般的なものより進行の早い白内障を起こすこともあり、早めに治療することが大切です。

糖尿病性腎症

糖尿病によって、腎臓の機能が障害された状態です。初期にはほとんど症状が無いのですが、だんだん進行すると、体内の老廃物を尿として排泄することができなくなり、むくみなどを起こします。進行させると腎不全となり人工透析が必要になります。

糖尿病の治療

まず大切なのは生活習慣の見直しです。特に食事のコントロールと適切な運動が重要です。血糖値をコントロールするために薬物療法を行うこともありますが、その間も気長に休まず食事による血糖値のコントロールと、運動による糖分の消費を続けるようにします。当院でも無理なく続けられるよう、丁寧に指導を行っています。
薬物療法は、患者様によって、様々な段階があります。内服薬だけの場合もありますが、状態によってはインスリンをご自身で注射するインスリン療法を行うこともあります。

糖尿病による頭痛で気をつけたいこと

糖尿病では、血糖値をコントロールすることが重要です。血糖値スパイクを繰り返すと、血管の障害から、脳血管障害や心筋梗塞などのリスクが高まります。
食後に頭痛を起こすことが多い場合、このコントロールが上手くいっていない可能性があります。
規則正しく、決まった時間に3食をしかりと摂ることが大切です。
当院は脳神経外科の専門医として、特に脳血管障害を防止する立場から生活指導を重点的に行っています。お困りの際はご相談ください。

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