脂質異常症

脂質異常症について

コレステロールは体の組織やホルモン、胆汁などの原料となる大切な成分で、細胞にコレステロールや脂肪を届けるLDLと余ったコレステロールを回収するHDLの2種類があります。これに中性脂肪を加えて、全体にバランスをとりながら循環していますが、このバランスが壊れてしまうのが脂質異常症で、動脈硬化を起こす元になります。

動脈硬化進行の最大リスク、脂質異常症

日本人の死因として毎年上位にランクされているのが心疾患と脳血管障害です。この2つの疾患のほとんどは動脈硬化によってもたらされます。その原因となるのは、高血圧、高血糖、脂質異常症の3つですが、そのうちでも特に脂質異常症の関連は大きいものがあります。LDLコレステロールが多すぎると血管壁に蓄積し動脈硬化の原因となります。動脈硬化が脳で起これば脳出血や脳梗塞、心臓周辺で起これば心筋梗塞となります。

脂質異常症の原因

脂質異常症ではLDLコレステロールが過剰になる高脂血症、HDLコレステロールの供給量が減る低脂血症があります。高脂血症は、肝臓からの供給の増えすぎで、過食、ホルモンバランスの異常などによって起こります。一方、低脂血症は運動不足、喫煙、メタボリックシンドローム、無理なダイエット、糖尿病などによって起こります。また、肥満になると中性脂肪が増加します。
脂質異常症の、ほとんどの症例は成人になってからの食事や嗜好品の摂りすぎといった食生活、運動不足、それらによる肥満などが原因となっていますので、生活習慣の改善が大切です。

脂質異常症の症状

脂質異常症はLDLコレステロールが多すぎる場合でもHDLコレステロールが少なすぎる場合でも、ほとんど自覚症状があらわれません。そのため、定期健康診断などの血液検査で血中の脂質異常を指摘されて始めて分かることが多いものです。その他には、糖尿病、甲状腺異常などの疾患があるために起こる続発性の場合は各疾患の自覚症状から判明することもあります。
一方、無理なダイエットなどによってLDLコレステロールが低すぎる場合は、エネルギー不足となり全身の倦怠感などの症状があらわれることもあります。

脳動脈硬化症では頭痛も

脂質異常症による動脈硬化が進行することによって、様々な症状があらわれます。症状はどこの血管が硬化したかによりますが、脳の動脈で硬化が起きた場合、めまいや耳鳴りに加えて、頭痛などが主な症状となります。そのため脂質異常症を指摘されて頭痛が増えたようなケースでは、脳血管の動脈硬化が疑われるため、早めに脳神経外科を受診してください。当院でも脳神経外科の専門医が対応しますので、ご相談ください。

脂質異常症の治療

脂質異常症では、基本的には食事・生活習慣の改善を中心に治療を行います。
具体的には、患者様の年齢、性別、基礎疾患の有無などに合わせて、数値目標を定めて行うことになります。特に高脂血症タイプの脂質異常症の場合、2020年の厚生労働省の「食事摂取量基準」において、重症化予防の観点からコレステロールの摂取量を1日200mg未満に抑えることが望ましいとしています。具体的には、肉類の脂肪より魚介類の脂肪を多くし、脂肪の吸収を抑える食物遠位を増やすことが挙げられます。その他、一日30分以上ウォーキングなどの有酸素運動を行うことも有効です。
その上で、コレステロールや中性脂肪の値を下げる薬によって薬物療法を行うこともあります。

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