しびれとは
正座を続けた時など、足がびりびりとして歩けなくなってしまうことがあります。それがしびれという感覚です。感覚的な問題なので、人によって「じんじん」「びりびり」など受け取り方は様々ですが、特に血行を遮るような動作や姿勢をしていないにも関わらず、手足がしびれるような感覚がある場合は、神経の伝達経路のどこかに障害が起こっていることが原因です。原因となる疾患は様々あります。しびれが気になる方は、まずはご相談ください。
こんな症状はありませんか?
- 手や足の先端部分のビリビリ、ジンジンする感覚が続く(感覚異常)
- 冷たさ、熱さを感じにくくなっている(感覚低下)
- ちょっとした刺激でも強く感じる(感覚過敏)
- 手足に力が入らなかったり、動かしにくかったりする(運動麻痺)
しびれの検査
診察室に入ってくる患者様の姿、歩行の速さ、椅子に座る際の動作などを注意深く観察し、障害の程度を見分ける神経学的診療法を用いて、しびれの原因を見極めます。
その上で、しびれの原因となる可能性のある部分の画像検査や血液検査などで詳細を調べることになります。
しびれの原因
多くの場合、しびれは脳、脊髄、末梢神経といった神経伝達経路のどこかにダメージが加わって起こります。その中には血管障害を起こすような内科的疾患によって神経がダメージを受けてしまっているようなケースもあります。
また、突然、身体の片側の手足にしびれが起こるような場合、脳血管障害の発作が起こっている可能性があります。お早めに当院までご相談ください。
頭に原因がある場合
脳卒中(脳血管障害)
脳には神経の通り道がいろいろあります。特に脳幹部や視症が脳卒中によって障害された場合、半身の手足などに感覚異常が起こり、しびれとなってあらわれます。
脳梗塞の前触れの症状として起こる、一過性脳虚血発作は、半身にしびれがあらわれて、数十分ほどすると消えていきます。
脳卒中の初期症状としては、その他にも、片側の手掌と口の口角周辺に同時にしびれが起こることがあります。これは、脳内で口角周辺と手掌の感覚をつかさどる部分が近くにあるため起こる手口感覚症候群という現象です。
脳卒中によるしびれは、前触れ症状や、初期症状としても起こりますが、後遺症としてしびれが遺ることもあります。脳の出す様々なサインを見逃さないよう、気づいたらすぐに当院までご相談ください。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができ、感覚神経の通り道が阻害されると、しびれに伴って頭痛や悪心などの症状を起こすことがあります。感覚神経が腫瘍によってだんだん圧迫されることが原因です。しびれ、頭痛があり、悪心・嘔吐を繰り返すようであれば、すぐに受診してください。
脊椎に原因がある場合
変形性頸椎症
頭を支える頸椎を構成している骨が、だんだんと変型してきて、ついには骨棘(こっきょく)というトゲのような状態になり、脊髄や脊髄から枝分かれして手先などに至る神経根を圧迫することで、しびれや痛み、力が入らないといった症状が起こります。神経根が頸椎で刺激された場合、肘など離れた場所でしびれや痛みが起こります。
頸椎椎間板ヘルニア
背骨には、骨と骨の間にあってクッションのような役割をする椎間板があります。椎間板は髄核とそれを保護する繊維輪でできていますが、その髄核が何らかの原因で飛び出してしまって、脊髄や神経根を圧迫します。頸椎で起こった椎間板ヘルニアは上肢のしびれ、痛みなどの他、力が入らないといった症状を起こします。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアが腰椎で起こった状態です。腰椎で椎間板ヘルニアが起こると主に下肢にしびれや痛み、力が入らないといった症状を起こします。
背骨は頸椎、胸椎、腰椎の3つの部分にわけて考えますが、頸椎と腰椎は椎間板ヘルニアが発症しやすい部位です。
後縦靭帯骨化症
背骨の後ろ側を繋いで支えている後縦靱帯(こうじゅうじんたい)が骨化して、脊髄を圧迫することで、しびれ、運動麻痺などの症状を起こす疾患です。頸椎、胸椎、腰椎でそれぞれ起こる可能性があります。厚生労働省によって難病指定されている疾患です。
末梢神経に原因がある場合
胸郭出口症候群
頸椎から分かれた神経が腕に向かう際、鎖骨と肋骨の間の狭い部分を通ります。ここを胸郭出口と言いますが、非常に狭いスペースを通るために、神経や血管が圧迫されることによってしびれ、痛み、脱力感などがあらわれる疾患です。20代を中心に、首の長いなで肩の女性などに起こりやすい疾患です。
手根管症候群
手を動かすための神経の一種である正中神経は、手首にある、非常に狭い手根管というスペースを通っています。手首を使いすぎることなどで、この狭いスペースで正中神経が圧迫されることで、手指の親指から薬指の半分までがしびれを起こしたり痛んだりします。
ひどくなると、物をつかめない、痛みで睡眠中も目覚めてしまうなど、日常生活に大きな影響が出ます。
内科的疾患が原因の場合
糖尿病性神経障害
糖尿病によって、血管にダメージが起こり、神経への栄養が届かなくなることがあります。これによって起こるのが糖尿病性神経障害で、糖尿病の3大合併症の一つとされています。末梢神経が障害された場合、初期には足指などがじんじんとしびれる症状がおこります。
ビタミン欠乏
現代は全体的には栄養状態が良くなってきていますが、極度の偏食、度の過ぎたダイエット、アルコールを飲むだけで食事をほとんど摂らないなどが原因でビタミン不足に陥る人も増えてきています。ビタミン不足は脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群などの神経障害を起こします。
しびれでお困りの方へ
しびれは、脳や脊髄、重度の生活習慣病といった重篤な疾患のサインであることも多い症状の一つです。様々なしびれでお困りの方は、お気軽に当院にご相談ください。
当院の治療方針としては、まず丁寧に診察し、原因を見つけ、しっかりと治療を行っていくことはもちろんとして、患者様のちょっとした不安などを、専門家の目から見て解決・解消するお手伝いをできる、誰もがお気軽に立ち寄って相談できる健康の窓口も目指しております。そのような姿勢で地域の皆さんに貢献できる医院として活動していきたいと考えております。
半身の手足がしびれている場合は、早急な受診が必要です
人は、身体が痛む時は、積極的に病院を受診するとこが多いのですが、しびれはついつい我慢したり、たいしたことがないと放置したりしがちです。
しかし、しびれも重篤な疾患のサインとしてあらわれることの多い症状の一つなのです。
特に身体の半身にあらわれるしびれは注意が必要です。脳で起こる障害は局所的な場合が多く、そんな時は片半身にしびれや痛み、力が入らないなどの異常が起こることになります。つまり身体の片側に異常がある時は脳に異常がある可能性が高いということになります。
ちょっとしたしびれでも、そんな場合はすぐに受診してください。